
2026/5/20
梅雨の雲が少しだけ薄くなり、光が差し込んだ朝。 湿った空気の中に緑の香りが混じる、そんなタイミングを逃さず鎌倉へ向かった。
最初に訪れたのは、鎌倉七口のひとつ「朝比奈切通し」。
雨に濡れた岩肌はしっとりと黒く光り、苔の匂いが湿った空気と混ざり合って、歩くたびにふわりと立ちのぼる。 古道の両側に迫る岩壁は静かにそびえ、時折、木々の葉から落ちる雫が小さな音を立てて足元の土を濡らしていく。
人影もまばらで、ただ自分の呼吸と靴音だけが道に溶け込んでいくような、梅雨の鎌倉らしい穏やかな時間が流れていた。
次に向かったのは鎌倉最古の寺・杉本寺。 山門をくぐると、雨をたっぷり含んだ苔が石段を柔らかく覆い、深い緑色がしっとりと輝いていた。
その静かな美しさに思わず足を止め、しばらく見入ってしまう。
本堂へ続く道は、雨上がりの匂いとともにどこか懐かしい気配をまとっていて、十一面観音に手を合わせると、胸の奥に溜まっていたものがゆっくりとほどけていくようだった。
呼吸が自然と深くなり、心が静かに整っていくのを感じる。

報国寺の竹林は、雨上がりがいちばん美しい。
青々とした竹が空へ向かってまっすぐ伸び、風が通るたびにサラサラと涼やかな音を奏でる。 その音はまるで水の流れのようで、耳を澄ませるほどに心が静かに澄んでいく。
抹茶をいただきながら庭を眺めていると、時間の流れがゆっくりとほどけ、 自分が竹の間に漂う柔らかな光の中に溶け込んでいくような感覚さえあった。
雨上がりの湿度が、竹の青さと静けさをいっそう引き立ててくれる。
報国寺から歩いて数分。 住宅街の中にひっそりと佇む石かわ珈琲は、扉を開けた瞬間に空気が変わる。
木の香りがほんのり漂う店内は、席数も多くなく、 “話す”よりも“静かに過ごす”ための空間が丁寧につくられている。 雨上がりの湿った空気をまとったまま腰を下ろすと、 散策で高ぶっていた気持ちがすっと落ち着いていく。
キッシュと深煎りのコーヒーをゆっくり味わいながら、竹林の余韻を静かに胸の中で転がす時間が心地よかった。
窓から差し込む柔らかな光と、静かに流れる時間。 鎌倉の“余白”をそのまま味わえる、そんな場所。
石かわ珈琲を出て、若宮大路を八幡宮へ向かって歩く。 雨上がりの空気はまだ少し湿っていて、 段葛の木々は深い緑色に濡れ、 葉の表面に残った雫が光を受けて静かに輝いていた。
参道を進むにつれ、 街のざわめきが少しずつ遠ざかり、 境内に近づくと、空気がひんやりと澄んでいく。 本殿へ続く階段の前に立つと、 雨に洗われた石畳がしっとりと落ち着いた色をしていて、 その静けさに自然と背筋が伸びた。
源平池の水面には薄い雲がゆっくりと流れ、 風が吹くたびに水面がわずかに揺れて、 その揺らぎが今日の鎌倉の空気を象徴しているように思えた。

散策の締めくくりは、鎌倉駅近くのBtaps(ビータップス)で軽く一杯。
店内は木目を基調とした落ち着いた雰囲気で、 窓際のカウンター席に座ると、 行き交う人々を眺めながら静かにグラスを傾けられる。
冷えたクラフトビールのグラスをそっと手に取る。 一口含むと、今日歩いた古道の湿った香りや、苔の緑、竹林の静けさが、 ふわりと胸の奥で混ざり合い、ゆっくりと余韻へと変わっていく。 外では雲がまた厚みを増し始めていたけれど、その曇り空さえも、 今日の鎌倉を締めくくるにはちょうどいい柔らかさだった。
・・・・・そんな思いを膨らませながら、今日も仕事!
皆さん、2週にわたってお付き合いいただき
ありがとうございました🌧️🍃
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