
こんにちは。リハスワーク市川国府台筆者Tです。
食欲の秋という事で、小樽出身の私の母が作っていた料理の中でも印象深い鮭の粕汁(かすじる)を紹介させていただきます。
毎年秋になると、アキアジを食べる習慣がありました。
他の地方でもアキアジと呼ばれる鮭はありますが、北海道では一般的に秋に産卵のため沿岸へ接岸してくるシロザケを指す呼び名です。身は引き締まっており、メスはイクラ(筋子)、オスは白子を抱えている点が最大の特徴です。
シロザケは日本の河川で生まれ育ち、海を旅する代表的なサケの正式名称です。
そのアキアジを使った料理の中に鮭の粕汁がありました。
粕汁は、酒粕を加えて煮込んだ日本の伝統的な汁物料理です。酒粕が広く庶民に親しまれるようになったのは、江戸時代(17世紀〜19世紀)に入ってからのことです。
江戸時代には日本各地で酒造りが盛んになり、酒蔵が点在する地域では、冬になると大量の酒粕が出回りました。これにより、酒粕を使った家庭料理として粕汁が普及し、各家庭でさまざまな具材と組み合わせたオリジナルのレシピが生まれました。冬の寒い時期に体を芯から温める料理として、酒造が盛んな兵庫県をはじめとする関西地方で広く親しまれてきました。大根やニンジン、ゴボウといった根菜類に、鮭やブリなどの魚を加え、酒粕の濃厚な風味で仕上げる庶民的な季節料理として、今も家庭の味として受け継がれています。
関西地方の鮭のアラを使った粕汁の作り方を紹介させていただきます。
なお、味噌汁やカレーライスの様に各家庭で作り方が違うと思います。

1塩鮭のアラはスーパーにいけば格安で売られています。食べやすい大きさに切り分けます。中骨は関節に包丁を入れれば力はいりません。口先は切落し、下あごは切り離します。

2鍋にたっぷりの水と塩(1L当たり大さじ1)を入れて沸騰させます。温度を下げないようアラを少量ずつ入れて中火で2~3分下茹でします。

3流水で汚れを洗います。指先でヌメリを取るようにします。この下処理を丁寧にすることが肝心で生臭みをとる秘訣です。魚が苦手な人でも食べられる粕汁になります。

4穴あきトレーに載せ酒と塩を少量(分量外)振って水切りをしておきます。これも臭みを取るためです。魚汁はこの生臭さを取る工程が大事です。

5材料を揃えます。野菜類は冷蔵庫にある残り物を利用しましょう。ゴボウは笹がきにして水に晒し、大根、人参は銀杏切、こんにゃくは細切りにします。
6出汁に鮭のアラ以外の材料全部を入れて火にかけます。沸騰したらアクを取り、落ち着いたらアラを入れます。

7弱火にして蓋をずらした状態で煮込みます。最低1時間、できれば2時間は煮込みましょう。水分が不足したら水か昆布出汁を足します。


8野菜が煮えたら、酒粕を溶き入れ、ねぎを加えてひと煮立ちしたら、できあがり。
ちなみに筆者Tの母親はこの粕汁に味噌を入れて作っていました。
関西地方でも、味噌を使うこともあるそうですが、北海道において味噌を入れるようになったのは、次のような理由が考えられます。
1江戸時代の海運「北前船(きたまえぶね)」が結んだ縁
江戸から明治にかけて、北海道(蝦夷地)と関西(大坂)を結ぶ「北前船」という交易船がありました。北海道からは昆布やニシン、そして鮭などの海産物が関西へ運ばれ、代わりに関西からは米や酒、そして酒粕が北海道へと持ち込まれました。この交易によって、関西の「粕汁文化」が北海道に深く根付き、北海道の特産品である「鮭」と結びつくことになりました。
2北海道の郷土料理「三平汁」や「石狩鍋」の影響
北海道を代表する郷土料理に、塩引き鮭(またはニシンやタラ)と根菜を煮込んだ「三平汁」があります。本来は塩味の汁物ですが、体を芯から温めるために酒粕を溶かし入れるご家庭や地域が北海道には多く存在します。また、鮭を使った味噌仕立ての「石狩鍋」にも、隠し味やコク出しとして酒粕を入れるのが定番です。母が作られていたものは、この三平汁の酒粕アレンジだった可能性が高いです。
3極寒の気候に最も適した調理法
酒粕には、アルコール分と豊富な栄養素が含まれており、食べると体が芯からポカポカと温まります。冬場の厳しい寒さを乗り越える北海道の人々にとって、安価で手に入りやすく、体を温めてくれる酒粕は非常に重宝される食材でした。そこに地元で獲れる新鮮な鮭や、保存食である塩鮭を合わせるのは、雪国における生活の知恵でもあります。
つまり、母が作ってくれた鮭の酒粕汁は、決して関西からぽつんと借りてきたメニューではなく、北前船が運んだ文化を北海道の厳しい気候と地元の豊かな食材(鮭)に合わせて発展させた、由緒正しい「北海道の家庭の味」と言えます。諸説アリ。
その母も亡くなり、もう食べられることはありませんが、忘れられない料理の一つです。
皆様の好きな秋の味覚はありますか。
当事業所にご興味をお持ちになられましたら、ぜひご連絡をいただきますようお願いいたします。
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