
今日は9月25日。
朝8時、横浜を出発。
もちろん、助手席には――
大好きな彼女。
……という設定(笑)。
現実にはまだ助手席は空いている。
でも、今日くらいは妄想してもいいだろう。
朝8時、横浜を出発。
中央道方面へ向かう。
車の中には、彼女の好きそうな Mrs. GREEN APPLE「青と夏」を流しておく。
「今日は山梨だよ」
そう言ったら、
「何するの?」
と聞いてくる彼女。
「まずは、ぶどう狩り」
「いいね!」
……この会話だけで、もう充分楽しい。
10時少し前、勝沼に到着。
今日の目的は、秋の味覚――ぶどう。
9月25日なら、まだシャインマスカット狩りを楽しめる農園がある。
今回は「収穫体験」と「食べる」をテーマにしている理想園へ。

旬の果物を味わえる体験型の施設~理想園
農園に入ると、たくさんのぶどう。
「どれがおいしそう?」
彼女と一緒にぶどうを選ぶ。
「これ、大きいよ!」
「ほんとだ。食べてみる?」
……。
いや。
ちょっと待て。
「食べてみる?」なんて、そんなことを言える関係なのか?
妄想だから言えるんだよな(笑)。
でも、シャインマスカットを一口食べて、
「甘い!」
と笑う彼女を見られたら、それだけで来た甲斐がある。
ぶどう狩りを楽しんで、11時頃には農園を出発。
次は昼食。

山梨県の農業生産法人 ホトト農場 が直営する、郷土料理のお店~完熟屋
せっかく山梨まで来たんだから、やっぱり「ほうとう」。
今回は勝沼周辺の甲州古民家ほうとう 完熟屋あたりを候補にしたい。
120年の古民家で山梨らしい雰囲気を味わいながら、熱々の豚肉ほうとう。
豚肉のコクと自家製味噌が織りなす、看板メニューを味う。
「結構ボリュームあるね」
「食べられる?」
「大丈夫!」
なんて会話をしながら昼食。
ぶどうを食べた後なのに、ほうとうもしっかり食べる。
食欲だけは二人とも元気。
お腹いっぱいになったところで、次は富士山方面へ。
勝沼から河口湖へ向かう。
車の中から見える山々。
そして、少しずつ近づいてくる富士山。
「富士山見えてきた!」
彼女が助手席から指を差す。
「ほんとだ」
……。
運転しながら、横を見る。
いや。
富士山を見なきゃ。
でも、やっぱり気になる。
助手席に座っている彼女の横顔。
午後2時頃、河口湖へ。
目的地は大石公園。
河口湖越しに富士山を眺められる場所。

河口湖越しに富士山を望める景観で知られる湖畔公園
車を停めて、二人で湖畔を歩く。
風が気持ちいい。
富士山を眺める彼女。
その横顔を見る自分。
「……。」
富士山、きれいだな。
でも。
それ以上に――
隣にいる彼女の横顔を見てしまう。
もちろん、本人には言わない。
というか、言えるわけがない。
ただ心の中で、
「やっぱり好きだな」と思う。
完全に自己満足。
完全に妄想。
でも、それでいい。
公園を歩いた後は、湖畔で少し休憩。
コーヒーでも飲みながら、
「今日、楽しいね」
なんて言われたら……
たぶん、その一言だけで一週間くらい頑張れる(笑)。
くだらない話をして、
笑って、
富士山を眺めて。
観光地をたくさん回らなくても、こういう時間が一番いいのかもしれない。
楽しい時間は早い。
時計を見ると、もう15時45分。
「そろそろ帰ろうか」
彼女にそう声をかける。
「うん」
車に戻る。
エンジンをかけて、横浜へ。
帰り道は少し静か。
でも、その静けさも心地いい。
助手席には彼女。
……という妄想。
「今日は楽しかったね」
「うん。また行こうね」
そんな言葉を交わして――
「じゃあ、またね」
彼女を降ろす。
そして、一人になった車の中。
ふと助手席を見る。
…………。
誰もいない。
そうだった。
今日のドライブは――
全部、妄想だった。
でも。
妄想だけで終わらせるのも、ちょっと寂しい。
横浜から山梨へ行って。
ぶどう狩りをして。
ほうとうを食べて。
富士山を眺めて。
大好きな彼女を助手席に乗せて。
そんなドライブ、本当にできたらいいな。
車を駐車場に停めて、家に入る。
そして、最後にもう一度思う。
今度こそ、誘ってみよう。
「山梨、行かない?」
その一言を、今度こそ言ってみよう。
……たぶん。
いや。
今度こそ誘うぞ。
そう思いながら、今日も一日が終わる。
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