2026/7/22

「働きたい気持ちはあるけれど、体調に自信がない」
「仕事を辞めてから時間がたち、何から始めればよいか分からない」
「いきなり週5日働くのは難しい」
「自分にできる仕事があるのか不安」
障がいや病気がある方のなかには、このような悩みを抱えながらも、どこに相談すればよいか分からず、一人で考え続けている方がいます。
しかし、働き方は「すぐに一般企業へ就職する」だけではありません。
支援を受けながら働く、短い時間から生活リズムを整える、仕事を体験しながら自分の得意・苦手を知るなど、今の状態に合わせた始め方があります。
この記事では、障がいや病気があり、働くことに不安を感じている方に向けて、利用できる就労支援や「就労継続支援B型」という選択肢を分かりやすく解説します。
働くことに不安を感じる理由は、人によって異なります。
例えば、次のような悩みがあります。
朝起きられる日と起きられない日がある
疲れやすく、長時間集中することが難しい
人とのコミュニケーションに不安がある
過去の職場でうまくいかなかった経験がある
自分に向いている仕事が分からない
ブランクが長く、仕事についていけるか心配
病気や障がいのことを職場へどう伝えればよいか分からない
毎日通えるか分からない
家族以外の人と接することに緊張する
このような状態で「まず求人を探しましょう」と言われても、難しく感じるのは当然です。
働くためには、仕事の能力だけでなく、生活リズム、体調管理、通勤、人との関わり方、自分に合った環境など、さまざまな要素が関係します。
そのため、最初から就職だけを目標にする必要はありません。
まず外に出る、決まった時間に通う、できる仕事を見つける。
このように、現在の状態に合った一歩から始められます。
就労支援とは、障がいや病気などによって働くことに困難を感じている方を支える仕組みです。
厚生労働省では、障害福祉サービスとして、主に次の5種類を設けています。
就労選択支援
就労移行支援
就労継続支援A型
就労継続支援B型
就労定着支援
それぞれ、利用する目的や働き方が異なります。
大切なのは、自分だけで「どの制度を使うべきか」を決めることではありません。
市区町村の障害福祉窓口や相談支援事業所、医療機関、就労支援事業所などへ相談しながら、自分に合った選択肢を考えられます。
代表的な働き方と就労支援の違いを整理すると、次のようになります。
選択肢 | 主な目的・働き方 | 雇用契約 | お金の受け取り方 |
|---|---|---|---|
一般就労 | 企業などに就職して働く | あり | 給与 |
就労移行支援 | 一般企業への就職に向けた訓練や就職活動を行う | 原則なし | 原則として工賃・給与なし |
就労継続支援A型 | 支援を受けながら雇用契約を結んで働く | あり | 給与 |
就労継続支援B型 | 体調などに合わせて生産活動や仕事に取り組む | なし | 工賃 |
就労選択支援 | 希望や適性を整理し、自分に合う働き方を考える | なし | ― |
「障がいがあるからB型」「一般就労が難しそうだからA型」と、障がい名だけで決まるわけではありません。
現在の体調、働いた経験、得意なこと、必要な配慮、将来の希望などを踏まえて判断します。
就労継続支援B型は、一般企業や雇用契約に基づく働き方が現時点では難しい方に、仕事や生産活動の機会を提供する障害福祉サービスです。
厚生労働省は、B型について「雇用契約に基づく就労が困難である方に、就労や生産活動の機会を提供するサービス」と説明しています。
B型では事業所と雇用契約を結ばないため、最低賃金が適用される「給与」ではなく、作業によって得られた収益などから「工賃」が支払われます。
一方で、雇用契約を結ばないからこそ、体調や障害特性に合わせて、働く時間や通所日数を相談しやすい特徴があります。
B型事業所で行われる仕事は、事業所によって大きく異なります。
一例として、次のような仕事があります。
商品の組み立てや袋詰め
部品の検品
清掃
農作業
木製品や雑貨の製作
パソコンを使った入力作業
印刷物の封入
飲食店や企業での施設外就労
リネンや衣類のたたみ作業
ただ作業をするだけでなく、仕事を通じて次のような力を身につけることも目的の一つです。
決まった時間に通う習慣
体調に合わせて働く方法
集中力や作業の正確さ
分からないときに質問する力
人と一緒に仕事を進める経験
自分の得意・苦手への理解
将来の働き方を考えるための経験
仕事内容や支援内容は事業所ごとに異なるため、利用前に見学や体験をすることが重要です。
例えば、次のような方にとって、B型が選択肢になることがあります。
週5日、長時間働くことが難しい
体調に波がある
仕事を辞めてから長いブランクがある
まずは生活リズムを整えたい
支援を受けながら仕事に取り組みたい
自分に合う作業を見つけたい
いきなり就職することに不安がある
働く経験を少しずつ積みたい
将来的には一般就労も目指したい
ただし、これらに当てはまれば必ずB型を利用できるという意味ではありません。利用の可否は、本人の状態や希望などを踏まえて市区町村が決定します。
「自分が対象になるか分からない」という段階でも、まず相談して問題ありません。
「B型を利用すると、その後は一般企業に就職できないのでは」と不安になる方もいます。
しかし、B型を利用する目的は人それぞれです。
安定して通い続けることを目指す
工賃を得ながら、自分のペースで働く
地域や人とのつながりを持つ
仕事の得意・苦手を把握する
A型や就労移行支援へ進む
一般企業への就職を目指す
このように、B型の先にある目標は一つではありません。
一般就労を希望する場合は、就職実績があるか、仕事の評価や就職活動の支援を受けられるか、就労移行支援や企業との連携があるかを事業所へ確認しましょう。
リハスワークでも、B型での経験を重ねた後、一般企業への就職を実現した方がいます。
障害者手帳を持っていない場合でも、すぐに「利用できない」と判断する必要はありません。
障害福祉サービスの対象になるかどうかは、障害者手帳の有無だけでなく、診断や疾病、現在の状態などを踏まえて自治体が判断します。対象となる難病等については、手帳がなくても診断書などによってサービスを利用できる場合があります。
必要な書類や判断基準は状況・自治体によって異なるため、次の窓口へ確認してください。
お住まいの市区町村の障害福祉窓口
相談支援事業所
通院している医療機関
利用を検討している就労支援事業所
手帳がないことを理由に相談をためらわず、「自分の場合はどのような選択肢があるか」と尋ねるところから始めましょう。
一般的な利用の流れは、次のとおりです。
市区町村の障害福祉窓口、相談支援事業所、医療機関、B型事業所などへ相談します。
この時点で、利用する事業所や目標が決まっていなくても問題ありません。
仕事内容、事業所の雰囲気、通いやすさ、支援内容などを確認します。
可能であれば、複数の事業所を比較することもおすすめです。
2025年10月から、就労選択支援が始まりました。
新たにB型の利用を希望する方の一部は、原則として事前に就労選択支援を利用し、本人の希望、能力、適性、必要な配慮などを整理します。対象となるかどうかは、自治体や相談支援事業所へ確認しましょう。
お住まいの市区町村へ申請し、サービス等利用計画などの必要な手続きを進めます。
市区町村の支給決定を受け、障害福祉サービス受給者証が交付された後、事業所と契約して利用を開始します。
手続きは地域や本人の状況によって異なる場合があります。事業所や相談支援専門員に手伝ってもらいながら進められます。
障害福祉サービスの自己負担は、原則としてサービス費用の1割ですが、所得に応じて月ごとの負担上限額が設定されています。
厚生労働省が示している負担上限月額は、次のとおりです。
所得区分 | 月額負担上限 |
|---|---|
生活保護受給世帯 | 0円 |
市町村民税非課税世帯 | 0円 |
一定所得未満の課税世帯 | 9,300円 |
上記以外 | 37,200円 |
18歳以上の場合、原則として本人と配偶者の所得で判断され、親の所得は含まれません。
食事代、交通費、材料費などが別途必要になる場合もあるため、見学時に確認しましょう。
B型事業所は、どこも同じではありません。見学するときは、次の点を確認してみましょう。
興味を持てる仕事があるか、自分の体調や得意なことに合いそうかを確認します。
週何日から相談できるか、短時間利用が可能か、休憩を取りやすいかを確認しましょう。
平均工賃だけでなく、作業内容や通所日数によってどのように変わるのかも確認することが大切です。
困ったときに相談できるか、作業手順を分かりやすく説明してもらえるか、体調への配慮があるかを見ます。
音や人の多さ、座席の間隔、利用者同士の距離感など、実際に過ごしやすい環境かを確認します。
一般就労を希望している場合は、就職実績、企業との連携、就職活動や定着への支援についても聞いてみましょう。
「まだ利用すると決めていないのに、相談してもよいのだろうか」
「自分がB型の対象か分からない」
「うまく話せる自信がない」
このような状態でも、相談できます。
最初から希望を明確に説明する必要はありません。
例えば、次のように伝えるだけでも十分です。
働きたい気持ちはありますが、今の体調で働けるか分かりません。
しばらく仕事をしていないため、何から始めればよいか相談したいです。
A型やB型、就労移行支援の違いが分かりません。
本人だけでなく、ご家族や支援者から相談することもできます。
就労継続支援B型「リハスワーク」では、障がいや病気がある方が、支援を受けながら仕事や生産活動に取り組んでいます。
リハスワークの特徴は、単に作業の場所を提供するだけでなく、一人ひとりの状態や希望を確認しながら、本人に合った仕事の方法や目標を考えることです。
事業所によっては、作業療法士・理学療法士などの専門職が関わり、次のような視点から支援します。
疲れにくい姿勢や作業方法
集中しやすい環境
作業工程の分かりやすい整理
体調に合わせた通所や休憩
得意なこと・難しいことの確認
一般就労を含めた将来の目標
利用するか決まっていない段階でも、見学や相談ができます。
「自分にできる仕事があるか知りたい」というところから、一緒に考えていきましょう。
障がいや病気があり、すぐに一般企業で働くことが難しくても、「働くことを諦めなければならない」ということではありません。
就労移行支援、就労継続支援A型・B型など、現在の体調や希望に合わせて利用できる支援があります。
特に就労継続支援B型は、雇用契約を結んで働くことが現時点では難しい方が、支援を受けながら仕事を経験し、自分に合った働き方を考えられる場所です。
大切なのは、一人で制度を調べ尽くしてから動くことではありません。
「働きたいけれど、何から始めればよいか分からない」
その気持ちを、まず誰かに相談することが最初の一歩です。
誰でも自由に利用できるサービスではありません。本人の障害や疾病、現在の状態、就労経験などを踏まえて、市区町村が利用の可否を決定します。対象か分からない場合も、市区町村の窓口や事業所へ相談できます。
手帳がなくても、診断や対象疾病などによって利用できる場合があります。必要な書類や条件は状況・自治体によって異なるため、お住まいの市区町村へ確認してください。
事業所や個別の支援計画によって異なります。週の通所日数や1日の利用時間を相談できる事業所もあるため、見学時に現在の体調を伝えて確認しましょう。
B型では雇用契約を結ばないため、給与ではなく、生産活動によって得られた収益などから「工賃」が支払われます。金額は事業所、仕事内容、通所日数などによって異なります。
目指すことは可能です。ただし、就職支援の内容や実績は事業所によって異なります。一般就労を希望する場合は、見学時に就職実績や具体的な支援内容を確認しましょう。
本人の利用意思を大切にする必要がありますが、最初の情報収集として家族から相談できる事業所もあります。本人への伝え方や相談の進め方も含めて問い合わせてみましょう。


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