2026/5/26

「統合失調症と診断されたら、もう以前のように働くことはできないのだろうか」
「体調の波がある中で、周りに迷惑をかけずに続けられる仕事はあるのだろうか」
そんな不安や葛藤を抱え、一人で悩みを深めている方は少なくありません。しかし、民間企業で活躍する精神障がいのある方の数は年々増加しており、令和4年には過去最高を記録しました。統合失調症を抱えながら、自分に合った環境を見つけ、社会で生きがいを持って働き続けている方はたくさんいます。
大切なのは、「病気だからできる・できない」という二元論で諦めることではなく、「どのような環境や配慮があれば、自分のペースを保ちながら無理なく続けられるか」を正しく整理することです。
今回は、統合失調症の特性が仕事に与える影響や続かない原因を客観的に見つめ直し、長く安定してはたらくための環境選びのヒント、そしてリハスワークをはじめとする具体的なサポート体制についてお伝えします。
この記事でわかること
統合失調症があっても「はたらく」ことは可能か
仕事が続かない原因(症状との関係)
統合失調症の方に向いている仕事・向いていない仕事
リハスワークを含む、活用できる就労支援
「統合失調症と診断されたら、もう仕事はできないのだろうか」と不安を感じている方は少なくありません。
結論から言うと、症状が安定していれば、仕事を続けることは十分に可能です。
令和4年時点で民間企業にて働いている障がいのある方の数はおよそ60万人を超え、過去最高となりました。そのうち、統合失調症などを含む「精神障がい者」の就業率は、前年から18.7%増の約13万人と、特に大きく数字を伸ばしています。
また令和5年時点で働いている精神障がい者のうち、疾病別の割合をみると、統合失調症の方は2番目に多く12.2%を占めています。
参考:Syogai-koyo-bankSyogai-koyo-bank
大切なのは「できるか、できないか」で判断することではなく、どのような環境であれば無理なく続けられるかを整理することです。
就労を考えるうえで、自分の症状や特性を理解しておくことはとても重要です。
統合失調症は、考えや感情のまとまりに影響が出る精神疾患です。症状は大きく「陽性症状」「陰性症状」「認知機能障がい」の3つに分けられます。
幻聴(声が聞こえる)・妄想(根拠のない思い込み)・思考の混乱などが代表的です。急性期に強く出ることが多く、薬物療法で改善しやすい症状です。
意欲の低下・感情の平板化・会話量の減少などが見られます。陽性症状より目立ちにくいものの、日常生活や仕事への影響が続きやすい症状です。
記憶・注意・集中力・処理速度などへの影響が出ることがあります。仕事の場面では「仕事の手順を覚えにくい」「同時に複数のことをこなせない」という形で現れやすいです。
統合失調症の方が「仕事が続かない」と感じる背景には、いくつかの具体的な原因があります。原因を知ることが、環境調整や適切な就労支援につながります。
統合失調症の方は、仕事における「集中力の低下」に関して悩みを抱えるケースが多い傾向があります。これは、スムーズに考えることが難しくなる「思考障がい」という症状による可能性が高く、幻聴による音や声が頭の中で頻繁に聞こえてくることで、注意力が散漫になってしまうケースもあります。
陰性症状により意欲が低下してしまうことも仕事が続かない原因となります。仕事をする気になれず無気力な状態が続き、仕事のパフォーマンスが下がり会社にいられなくなってしまいます。また、統合失調症の方の中には疲れやすくなる方もいます。その場合、すぐに消耗してしまって欠勤や遅刻などがちになるという影響が出てしまうことがあります。
服薬を続けることは症状の安定に欠かせませんが、眠気・体のだるさ・手の震えなどの副作用が出る場合があります。特に午前中の勤務が難しくなることもあるため、勤務時間の柔軟な調整が重要です。
人目を気にしすぎてしまったり、急な変化や指示の変更に対応しにくかったりすることがあります。職場の人間関係が複雑な環境では、ストレスが蓄積しやすくなります。
症状には波があります。体調が安定していた時期でも、ストレスや睡眠不足をきっかけに症状が再燃することがあります。そのたびに仕事を休まざるを得ない経験が続くと、就労への自信を失いやすくなります。
「統合失調症だから選べる仕事が限られる」ということはありません。ただ、自分の特性が「強み」になる環境を選ぶことが、長く安定してはたらくための鍵です。
向いている仕事には、次のような共通点があります。
毎日同じ流れで進められる仕事は、見通しが立てやすく安心して取り組めます。ルーティンワークが多く、臨機応変な対応を求められる場面が少ないため、落ち着いて業務に取り組めます。
軽作業の最大の特徴は、コミュニケーションの少なさです。「指示されたものを、指示通りに動かす」というシンプルな工程のため、人間関係で気を遣いすぎるストレスを大幅に軽減できます。また、体を動かす仕事は、規則正しい生活リズムを維持する助けにもなります。
一度に複数の業務をこなすマルチタスクは、認知機能に負荷がかかります。単一の作業を丁寧にこなせる環境が向いています。
精神障がい者の労働時間は、他の障がいのある方に比べて短くなっているのが特徴です。精神障がい者への合理的配慮として、「短時間勤務等勤務時間の配慮」が多いことが読み取れます。週数日・1日数時間から始めて、体調に合わせて少しずつ増やしていける環境を選ぶことが大切です。
仕事の種類 | 特徴・ポイント |
|---|---|
軽作業・梱包・仕分け | 手順が明確・会話が少ない・自分のペースで進められる |
データ入力・事務補助 | 集中できる個人作業・締め切りが緩やかな業務から始めやすい |
清掃・施設管理補助 | ルーティン性が高い・スタッフと適度な距離感を保てる |
農作業(農福連携) | 自然の中で体を動かす・季節のリズムに合わせた仕事 |
図書館・資料整理補助 | 静かな環境・明確な作業手順 |
リハスワークでは、ものづくり・軽作業、リハスファームでは農業を通じた就労訓練を提供しています。どちらも「自分のペースではたらく」ことを大切にした環境設計になっています。
仕事の「種類」よりも「環境・条件」が合わないことが、続かない大きな原因になります。以下のような環境は、無理が生じやすい傾向があります。
夜勤・変則シフト:睡眠リズムの乱れが症状の悪化につながりやすい
高いノルマ・成果主義:プレッシャーがストレスになりやすい
騒がしい職場環境:幻聴の悪化・集中力の低下につながることがある
頻繁な業務変更・マルチタスク:認知機能への負荷が大きい
感情労働(クレーム対応など):精神的な消耗が大きい
統合失調症のある方が仕事を続ける上では、自己判断で通院をやめたり、薬の服用を怠ったり、勝手に断薬したりしないことが大切です。症状が良くなったり、なくなったりすると薬を辞めたくなる気持ちが出てくるかもしれませんが、自己判断での断薬は再発のリスクがとても高くなります。
携帯のリマインダー機能やお薬ケースを活用して、服薬の習慣を整えましょう。
体調に合わせて「今日はここまで」と決められる環境が理想的です。通所に時間がかかりすぎる場合、体力を消耗して仕事に影響することがあります。在宅ワークや送迎がある事業所を活用するのも一つの選択肢です。
仕事によるストレスは、あなたの予想以上に心身に蓄積されるものです。ご自身では気付いていなくても、何らかの症状や、認知・思考の歪みが出ている場合があります。医師・支援員・家族など、気持ちを打ち明けられる相手をつくっておくことが再発予防にも役立ちます。
「眠れない日が続く」「特定のことが頭から離れない」「外出が急に億劫になる」など、自分の「いつもと違う」サインを事前に把握しておくと、悪化する前に対処できます。
就労継続支援B型のような場所でゆっくりとはたらく経験を積み、体調・生活リズムを整えてから次のステップを考える方が、長く安定して働き続けることにつながります。
統合失調症の方が利用できる主な支援を整理しておきます。
雇用契約を結ばずに、自分のペースで就労訓練ができるサービスです。利用にあたって障がい者手帳がなくても、医師の診断書があれば利用できる場合があります。
リハスワークでは、作業療法士・理学療法士など医療専門職が在籍し、単なる作業提供にとどまらない専門的なアセスメントと支援を行っています。送迎あり・在宅ワーク対応の事業所もあるため、通所が難しい方にも選択肢があります。
一般就労を目指す方向けの支援です。原則2年間、就職活動のサポートや職場定着支援を受けられます。
障がいや体調面に配慮を受けながら、事業所と「雇用契約」を結んで働く障害福祉サービスです。一般就労がすぐには難しい方に対して、支援を受けながら働く機会を提供し、給料(最低賃金以上)が支払われることが特徴です。
障がいを開示したうえで企業に就職する方法です。障がい者雇用が最も疾患への理解がある職場を探しやすくなります。合理的配慮(勤務時間の調整・業務内容の変更など)を受けやすいメリットがあります。
障がいについて専門的な知識を持つ担当者のいる専門窓口が設けられており、障害者手帳を持たない方でも窓口利用ができます。
「まだ一般就労は難しいかもしれない」「でも、何かしたい」そういう気持ちを大切にしたい。それがリハスワークの考え方です。
ものづくりや軽作業・農業という、体と手を動かすシンプルな仕事を通じて、生活リズムを取り戻し、少しずつ自信を積み重ねていくことができます。作業療法士が在籍しているため、統合失調症の特性を理解したうえでの支援が受けられます。
「まずは話を聞いてみたい」という段階から、見学・無料相談を受け付けています。ぜひ一度、お気軽にご連絡ください。
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