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37年前の悲しい出来事。そして、今。(3/5)

2025/2/27

先天性脳性まひの障がい者の私が一般企業に就職できたことは、
私にとって「一人の人間として、社会(世間一般)に認められること」
であり、(私は幼稚園からずっと健常者の中にいたが)
健常者と一緒に「働くこと」はとても大きな喜びだった。
自分を健常者に近いと思うことができた。
私は自分が障がい者であることを忘れたかったのかも知れない。

障がい者として見られていることは分かっていたが、
職場で差別的なことはなく、私は自分のことを
「私には障害があるけど健常者と同じように働けるんだ!」
と思うようになっていった。
実際は、私の動作が遅くこなせる仕事量は少なかったのだ。周りの人が、私の分の仕事をカバーしてくれていたのに、私はそれに気付かず自分の能力を過信していた。

自分に自信を持つようになり前向きな気持ちになれた。
前向きな私の交友関係も広がっていった。
自己肯定感も上がっていくはずだった。
友達と出掛けた旅先で、一人のおじいさんに会うまでは……。

昭和60年頃は結婚することが当たり前の時代だった。
私は「障がい者は結婚できない。家族に障がい者がいるとその兄弟姉妹も
結婚するのが難しい」と言われているのを知っていた。

障がい者だけでなく、とにかく世間から見て、
一般常識に当てはまらない、少数派の人間にとっては、
生きることが厳しかった。
多数派から外れると容赦なく非難された。
「少数派が差別されること」は当然のような時代だった。
私はそう感じている。

もちろん、いつの時代も心の広い人もいるし、
人の心の痛みに寄り添ってくれる人はいた。
ただし今ほど「個人」が大切にされる時代ではなかった。

そして「障がい者の私は結婚できないかも」という不安は、
いつも私の頭にあって、私は自分で自分を責めて
苦しんでいた。

次へ続く

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