
「うつ病になってから、仕事を続けることが難しくなった」
「また働きたいけれど、同じことを繰り返さないか不安」
「今の自分に合う働き方がわからない」
うつ病と仕事について、このような悩みを抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
うつ病があっても、治療を受けながら仕事を続けたり、休職・退職後に仕事を再開したりすることは可能です。ただし、症状や回復の経過には個人差があり、休養を優先したほうがよい時期もあります。
大切なのは、働くことを急ぐのではなく、今の体調に合う仕事の内容・時間・環境を、周囲と相談しながら考えることです。
この記事では、うつ病で仕事がつらくなる理由、休職中に確認したい制度、復職の進め方、退職後の働き方の選択肢を解説します。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。治療や活動の再開については主治医に、制度の利用については各窓口にご相談ください。
うつ病という診断名だけで、仕事ができるかどうかは決まりません。
同じうつ病でも、症状の程度や疲れやすさ、集中できる時間、負担になる場面は異なります。また、同じ人でも、その時々の体調によって取り組めることは変わります。
そのため、「以前と同じように働けるか」だけで判断せず、次のように考えてみましょう。
どのくらいの時間なら、無理なく活動できそうか
どのような作業なら、落ち着いて取り組めそうか
通勤や人とのやり取りで、負担になることは何か
どのような配慮や支援があれば、続けやすくなるか
症状が強いときは、仕事のことを考えること自体が負担になる場合もあります。休養も、これからの生活を支えるための大切な選択です。
うつ病では、気分の落ち込みだけでなく、睡眠や意欲、考える力、体の調子にも変化が生じることがあります。仕事のしづらさを感じても、自分の努力不足だと決めつける必要はありません。
文章を読んでも頭に入りにくい、判断に時間がかかる、複数の仕事を同時に進めにくいなど、以前との違いを感じることがあります。
急ぎの判断や頻繁な切り替えが求められる環境では、負担が大きくなる場合があります。
「取り組みたい気持ちはあるのに動けない」「短時間の作業でも強く疲れる」といった状態になることがあります。
仕事中だけでなく、帰宅後や翌日にどのくらい疲れが残るかも、働き方を考えるうえで大切な情報です。
眠れない、朝起きられない、日中に強い眠気があるなどの変化は、通勤や勤務の負担につながります。
勤務時間だけでなく、残業、夜勤、通勤時間も含めて見直すことが必要になる場合があります。
業務量の多さ、曖昧な指示、急な予定変更、相談しにくい人間関係などが負担になっていることもあります。
症状と環境の両方を整理し、調整できることを主治医や職場の担当者と相談しましょう。
退職を急いで決める前に、治療と生活を支える選択肢を確認しましょう。
仕事がつらいと、「辞めるしかない」と感じることがあるかもしれません。まずは、主治医に現在の仕事内容や勤務状況、困っていることを具体的に伝えてみてください。
職場への相談が可能であれば、次の点も確認します。
休職制度の有無、利用条件、休職できる期間
業務量や勤務時間を調整できるか
配置や担当業務の変更を相談できるか
休職中の給与、社会保険料、必要な手続き
復職に向けた支援や相談窓口があるか
休職制度や復職の手続きは、勤務先によって異なります。就業規則や人事・労務担当者への確認が必要です。
一方で、職場に相談することが難しい場合もあります。その際は、医療機関の相談員や外部の労働相談窓口など、職場以外の相談先を頼る方法もあります。
働けない期間の生活や治療費について、不安を感じる方もいらっしゃるでしょう。状況に応じて、次のような制度を利用できる場合があります。
勤務先の健康保険に加入している方が、業務外の病気やけがで仕事に就けず、十分な給与を受け取れない場合に支給される制度です。
連続する3日間の待期後、条件を満たす4日目以降が対象となり、支給期間は支給開始日から通算1年6か月です。支給額は、原則として支給開始前12か月の標準報酬月額の平均をもとに計算されます。
退職後も継続して受け取れる場合がありますが、退職前の加入期間や退職時点の状態などに条件があります。退職日を決める前に、加入先の健康保険へ確認しましょう。
うつ病などで継続的な精神科の通院治療が必要な方を対象に、医療費の自己負担を軽減する制度です。
対象となる通院医療の自己負担は原則1割で、所得などに応じた負担上限があります。対象となる医療や利用条件については、市区町村の担当窓口や通院先に確認してください。
うつ病によって日常生活や仕事に支障があり、所定の要件を満たす場合には、障害年金の対象となる可能性があります。
診断名だけで受給が決まるものではありません。初診日、保険料の納付状況、障がいの状態などによって判断されます。20歳前に初診日がある場合など、要件が異なるケースもあります。
「自分は対象にならない」と決めつけず、年金事務所などに相談してみましょう。
▼障害年金の受給要件や申請の流れを詳しく知りたい方へ
https://rehas-work.com/column/20251022
雇用保険の基本手当は、働く意思と能力があり、求職活動をしていることなどが前提となります。
病気で引き続き30日以上働けない場合には、受給期間を延長できることがあります。退職後すぐに働くことが難しい場合は、ハローワークに相談してください。
※各制度には個別の要件があり、併用時に給付額の調整が生じる場合もあります。申請前に、それぞれの窓口で確認しましょう。
復職は、主治医の意見と職場で必要な配慮をすり合わせながら進めます。
厚生労働省の手引きでは、休業中のケアから、主治医による復職可能の判断、復職支援プランの作成、会社による最終決定、復職後のフォローまで、段階的な支援が示されています。
主治医には、勤務時間や通勤方法、業務内容などを具体的に伝えましょう。そのうえで、職場の担当者や産業医等と、次のような点を相談します。
復職時の勤務時間と担当業務
残業や出張などの取り扱い
休憩や通院の時間
困ったときに相談する相手
体調を確認する面談の頻度
負担が大きくなった場合の対応
復職準備として、リワークなどの支援が選択肢になる場合もあります。利用条件や内容は実施機関によって異なるため、主治医や勤務先と相談してください。
復職後も、予定どおりに勤務時間や業務量を増やすことを優先せず、体調に合わせて計画を見直すことが大切です。
再就職を目指す方法も、支援を受けながら働く方法もあります。
企業で働くことと、就職に向けた支援を利用することを分けて考えると、自分に必要な選択肢を整理しやすくなります。
一般の求人や障害者雇用の求人から、希望する仕事を探す方法があります。
病気や障がいについて職場に伝えるかどうか、どのような配慮を相談したいかも、働き方を考える際のポイントです。求人区分だけで判断せず、仕事内容、勤務条件、相談体制を具体的に確認しましょう。
▼障害者手帳の取得と働き方の関係についてはこちら
https://rehas-work.com/column/20251201
選択肢 | 主な内容 | 雇用契約 |
|---|---|---|
就労移行支援 | 一般企業などへの就職に向けた訓練や就職活動の支援 | 原則なし |
就労継続支援A型 | 支援を受けながら、雇用契約に基づいて働く | あり |
就労継続支援B型 | 雇用契約を結ばず、生産活動などに取り組み、工賃を受け取る | なし |
それぞれ対象者や利用条件が異なります。就労継続支援B型の工賃は、雇用契約に基づく給与とは異なるため、収入面も含めて確認しましょう。
これらは、全員が順番に利用するものではありません。本人の希望や体調、必要な支援に応じて選びます。
就労選択支援は、作業体験や面談などを通じて、本人の希望や就労に必要な配慮を整理し、働き方の選択を支えるサービスです。
2025年10月以降、B型を新たに利用する際は、対象者に応じて事前の就労選択支援の利用が必要です。50歳以上の方や障害基礎年金1級を受給している方など、事前利用が必須とならない対象者もいます。
必要な手続きは、市区町村の障害福祉窓口や相談支援事業所に確認してください。
うつ病のある方全員に共通する「向いている仕事」はありません。
同じ事務職でも、電話対応の多さや締め切り、職場の雰囲気によって負担は異なります。軽作業でも、作業速度や正確さを強く求められる場合があります。
職種名に加えて、実際の働き方を確認しましょう。
確認すること | 具体的な確認例 |
|---|---|
勤務時間・日数 | 無理のない時間や日数を相談できるか |
仕事の進め方 | 手順が明確か、複数の業務を同時に求められるか |
作業量・締め切り | どのくらいの速度や量が求められるか |
人との関わり | 接客や電話対応の頻度、相談できる相手 |
作業環境 | 音、照明、室温、人の多さ |
通勤 | 所要時間、混雑、移動による疲れ |
体調への配慮 | 休憩、通院、業務調整を相談できるか |
データ入力・事務補助
入力量、確認作業の負担、電話対応の有無を確認しましょう。
検品・梱包・仕分けなどの軽作業
手順に加えて、作業速度、立ち仕事の時間、周囲の音も確認しましょう。
清掃などの仕事
体力面の負担、勤務時間、担当範囲を確認しましょう。
在宅で行う仕事
通勤負担を減らせる一方、自己管理や相談のしやすさも大切です。
農作業
作業内容だけでなく、天候、暑さ・寒さ、姿勢や移動の負担を確認しましょう。
以前の経験や得意なことを生かす方法もあります。「病気になったから、この仕事しかできない」と選択肢を狭めず、必要な条件と合わせて考えてみてください。
薬の副作用や通院の負担など、気になることがある場合は主治医に相談しましょう。治療内容を変えたいときも、自己判断で中断せず、相談しながら進めることが大切です。
その場では取り組めても、帰宅後に動けなくなったり、翌日に強い疲れが残ったりする場合があります。
勤務時間や作業量を考えるときは、生活全体への影響も見ていきましょう。
「寝つきが悪くなる」「食事を取ることが負担になる」「連絡を返せなくなる」など、自分に現れやすい変化を整理しておくと、相談のきっかけになります。
例えば、「負担を減らしたい」だけでなく、次のように伝える方法があります。
指示を口頭だけでなく、メモでも確認したい
優先順位を一つずつ示してほしい
通院のため、勤務時間を相談したい
静かな場所で休憩できると助かる
必要な配慮を一人で整理することが難しい場合は、支援者と一緒に考えることもできます。
一概にはいえません。休職や業務調整によって、治療を続けながら在籍できる場合もあります。主治医に相談し、勤務先の制度や退職後の生活も確認したうえで考えましょう。
必要な休養期間は人によって異なります。傷病手当金の支給期間や会社の休職期間は、医学的に必要な療養期間の目安ではありません。主治医と相談し、仕事内容や職場の受け入れ体制も踏まえて判断します。
療養への影響、勤務先の就業規則、傷病手当金の受給要件などを確認する必要があります。始める前に、主治医、勤務先、加入先の健康保険に相談してください。
対象となる可能性があります。ただし、診断名だけで利用が決まるわけではありません。本人の状況や必要な支援などを踏まえ、市区町村が利用の可否を判断します。就労選択支援を事前に利用する必要があるかも、併せて確認しましょう。
相談できます。「今すぐ働きたい」と決まっていなくても、困っていることや希望を整理するところから始められます。
症状が強く、日常生活にも大きな支障がある場合は、まず主治医に相談し、療養や生活を支える支援を優先しましょう。
うつ病があると、以前との違いに戸惑い、働くことへの自信を持てなくなることがあるかもしれません。
大切なのは、以前と同じ働き方を急いで取り戻すことより、今の自分が無理なく続けられる条件を見つけることです。
休養を優先する、職場と配慮を相談する、就職に向けた支援を利用する、支援を受けながら働く。選択肢は一つではありません。
リハスワークは、就労継続支援B型の事業所です。仕事内容や通い方、必要な支援について、見学や相談を通じて確認できます。作業内容や対応できる支援は、事業所によって異なります。
「どのような仕事があるのか知りたい」
「自分の体調で通えるか相談したい」
「まずは事業所の雰囲気を見てみたい」
そのような段階から、ご相談ください。
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